COLUMNコラム

【ワイヤー加工機の仕組み】ワイヤーカットの方法・特徴

産業界において、精密な部品の製造は不可欠な要素となっています。

その中でも、ワイヤー加工機は、金属や他の材料のワイヤーを巧みに扱い、異なる形状や寸法の部品を生み出す役割を果たしています。

今回は、ワイヤー加工機の基本的な機能やさまざまなタイプ、そしてその精密な技術がどのように製造業に新たな可能性をもたらしているのかをご紹介します。

 

ワイヤー加工機の仕組みとは?

 

 

ワイヤー加工機とは、工作物と走行する細いワイヤー電極との間に発生する放電現象を活用することで、加工を行う工作機械のことです。

ワイヤーは主に黄銅製で直径が0.05ミリから0.3ミリ程度の非常に細いものを使用します。

また、ワイヤー電極は電気を放電させるだけで工作物には接触しないため、システム的には電気を通す性質の材料であれば、どんなに硬い物でも加工できます。

 

ワイヤー加工機での加工方法

 

では、どのような流れで加工が完了するのでしょうか。

 

前もって材料が影響を受けない位置にワイヤーを通すための穴を開ける

加工材料の平坦度と平行度を確かめ、冶具で固定

開けておいた穴にワイヤーを通し、中心出し

事前に組んであるプログラムに沿って加工開始位置までワイヤーが移動

プログラムに沿って加工が自動的に開始

テーブルもしくはワイヤーが移動して、加工材料と非接触で加工

 

高い加工精度を求める場合は、粗取り、中仕上げ、最終仕上げと加工すると良いです。

最初の段階では、強い電流を流すことで、オフセット量(仕上げ面までの残り量)を多く取り、それ以降の段階では、オフセット量と電流を少なくして加工面を平にしていきます。

粗取り、中仕上げでは加工開始点と終了点は少し離しておき、完全にくりぬかないように加工することが大切です。

このような流れで、どんなに硬いものでも複雑で微細な形状の加工が可能です。

 

ワイヤー加工機で加工できる形状・材質

 

 

ワイヤー加工機で加工できる形状と使用可能な材質をご紹介します。

 

加工できる形状

 

ワイヤー加工機では、直径0.05ミリの非常に細いワイヤーを使用し、試験片などに意図的に欠陥をつける微細加工ができます。

細かい加工だけでなく、大型のワイヤーカットも可能です。

ワイヤー加工機があれば、1メートルを超えるような大型のワークもワイヤーカットできます。

また、プレス金型に用いられる高精度ダイプレートの加工も可能です。金型の精度の問題を解決したい方におすすめです。

例えば、マシニングなどの回転工具を使用すると、角Rが必ずついてしまいます。

しかし、ワイヤー加工機を使うことで、角Rがほとんど出ない状態で加工できます。また、リングや歯車などの半割加工も可能です。

ノコだと切断代が数ミリになってしまいますが、ワイヤー加工機では切断代を0.5ミリ以内に抑えられます。

 

加工できる材質

 

次は、加工できる材質について見ていきましょう。

基本的に、電気を通す素材であれば、硬いものでも、焼入れされたものでも加工可能です。

ただし、加工後に酸洗いを行うため、銅系の材料は変色してしまう可能性があることを覚えておいてください。

ここからは、加工可能な材質の例をいくつかご紹介します。

 

難削材

 

難削材は、削りにくく加工がしにくいですが、ダイス鋼、超硬、耐熱合金などの難削材であっても、ワイヤー加工機ならしっかりと加工できます。

また、刃物ではなかなか加工できない高硬度材料の六角穴も加工可能です。

どれだけ硬くても加工できるというのは魅力的ですね。

 

試験片

 

試験片は、熱や切削応力の影響を受けると、正規の材料としての機能が判定できません。

しかし、ワイヤー加工機で切り出すことで、試験片に対しての外的な悪影響が少なくて済みます。

 

ワイヤー加工機とレーザー加工機の違い

 

 

ここからは、レーザー加工機との大きな違いを4つのポイントに分けて解説していきます。

 

加工方法

 

まず1つ目の違いは、加工方法です。

レーザー加工機を使用する場合は、温度が非常に高いレーザー光で工作物を溶かして切り進めます。

一方で、ワイヤー加工機では、放電爆発を繰り返し起こすことによって、高温度の熱を発生させ、切り進めます。

このように、加工する方法が根本的に異なる点が大きな違いです。

 

加工の精度

 

加工精度において、ワイヤー加工機の方がレーザー加工機より優れています。

レーザー加工機の精度が0.05ミリであるのに対し、ワイヤー加工機は0.005ミリと10倍の精度差があります。

ワイヤー加工機があれば、非常に精度の高い加工が行えます。

 

加工にかかる時間

 

加工時間に関しては、レーザー加工機の方が優れています。

レーザー加工機が加工をする時間は1分あたり700から10,000ミリであるに対し、ワイヤー加工機は20から500ミリと程度となっています。

しかし、言い換えればワイヤー加工機はミスを決して起こさない、精度の高い加工ができるということです。

 

加工機の値段

 

一般的に、ワイヤー加工機の値段はレーザー加工機に比べて安くなっています。

レーザー加工機は、約2000万から1億円であるのに対して、ワイヤー加工機は1,000万から5,000万円程となっています。

値段の差が大きいのも特徴的です。

 

まとめ

 

 

この記事では、ワイヤー加工機について詳しく解説しました。

今回紹介したように、ワイヤー加工機にはあまり知られていない多くの魅力があります。

ワイヤー加工機を検討中の方も、ぜひ当社までお気軽にご連絡ください。

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